胃腸の働きが未熟な時期は、大人で平気なことでも、子どもはちょっとしたことで下痢や嘔吐をしてしまいます。
下痢や嘔吐をしてしまった時は、落ち着いて様子を観察し、お子さまの状態に合った判断をすることが必要です。
○下痢や嘔吐の原因
下痢や嘔吐の原因は様々ですが、ウイルスの感染が主な原因です。下痢や嘔吐は、悪さをする病原体を体の外に出そうとする防御反応の1つです。
ウイルス感染の場合は自然に治る傾向があります。下痢は約1週間、嘔吐は半日から1日で快方に向かいます。しかし、下痢や嘔吐のため、体内の水分や塩分が大量に失われると、脱水症状を起こしてしまいます。
○下痢や嘔吐の対処法
お子さまが下痢や嘔吐をしてしまった時は、締め付ける衣類は避け、出来るだけ本人が楽な体制で寝られるよう配慮してあげてください。
また、嘔吐の後は、吐いたものが気管に入っていかないようにするために、顔を横向きにして寝かせます。水分を与える時は、「お茶」や「イオン水」などを少量ずつ飲ませてください。大量に与えてしまうと下痢や嘔吐の原因となってしまいます。
○食事について
水分補給ができ、脱水症状が改善されたら、食事を与えてください。
絶食が続くと胃の粘膜に負担をかけてしまい、症状が長引くことになるので良くありません。
食事は消化の良いものから順に与えてください。
1)消化の良いもの
・湯冷まし
・麦茶
・味噌汁
・野菜スープ
・すまし汁
・すりおろしりんご
・おかゆ
・にゅうめん
・おもゆ
2)消化の悪いものや避けたほうが良いもの
・柑橘類や糖分の多いジュース
・揚げ物や脂肪分の多いもの
・海藻やきのこなど
・酸味の強いもの
・牛乳や乳製品
○お風呂について
下痢や嘔吐がひどく、元気のない時は中止してください。
○できるだけ早く対処が必要な時
下痢や嘔吐が重症でない場合は、自宅で安静にしていれば大丈夫です。しかし、以下のような症状がある場合は早めの受診が必要です。
・泣いても涙が出ない
・目が落ち、くぼんでいる
・皮ふ、口、舌が乾燥している
・呼吸が早く、眠っている事が多い
・機嫌が悪い状態が続いている
・1日に6回以上大量の水様便がある
・血便がある
・緑色の嘔吐がある
・嘔吐が続いている
・皮ふが冷たく、白っぽい時や色が悪い
・3か月未満の乳児は38℃以上、3か月以上の乳幼児は39℃以上の熱がある時
○受診するまでに行うこと
1)水分や食事の摂取量、下痢や嘔吐の回数、尿の回数を詳しくメモしてください。
2)赤ちゃんの場合、いつもと便が違うなと感じたら、便をしたオムツを持ってきてください。
お子さまの下痢や嘔吐について不安なことや、気になる点がありましたら、ご相談ください。
エンゼルこどもクリニック 院長
- 医学博士 / 日本小児科学会 小児科専門医 / 日本アレルギー学会 アレルギー専門医 / 日本血液学会 血液専門医
- 【所属学会】日本小児アレルギー学会 / 日本小児血液・がん学会 / 日本夜尿症学会 / 日本小児耳鼻咽喉科学会 など
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